11月13日 色暦 紅藤 (べにふじ)

11月13日の、色暦
紅藤(べにふじ)
「終わりの美しさは、始まりの余白でもある。」
紅藤(べにふじ)は、藤色にほんのり紅を差したような、やわらかで儚い色。藤袴(ふじばかま)の花が名残を惜しむように咲くこの時期、空気は澄み、光は斜めに差し込む。季節は、静かに冬へと歩みを進めています。
この色には、別れの予感と、次の季節への準備が宿っています。藤袴は秋の七草のひとつ。その花が枯れゆく姿には、潔さと優しさが同居しています。紅藤は、その余韻を映す色。華やかではないけれど、心に残る色です。
11月13日は、霜月の中盤。紅葉が深まり、風が冷たくなる頃。そんな日に、紅藤のような色を身につけると、季節の終わりを受け入れる静かな力が湧いてくるようです。別れではなく、巡りの一部としての終わり。紅藤は、そう語りかけてくれます。
WABISUKEの哲学においても、「終わりの美」は重要なテーマ。紅藤は、物語の余白を彩る色。次の章へとつながる、静かな一文のような存在です。
参考文献
• 『日本の伝統色』紫紅社
• 『和の色手帖』草木染研究会編
• 「紅藤(べにふじ)」— irocore.com
• 『七草の美学』淡交社