11月16日 色暦 桑染 (くわぞめ)


 11月16日の、色暦

桑染(くわぞめ)

「儀式の静けさは、葉の記憶に染まる。」

桑染(くわぞめ)は、桑の葉を煮出して染めた、やわらかな茶緑色。古代の装束や儀礼に使われた色であり、自然の恵みと人の営みが交差する色でもあります。派手さはなく、しかし深い敬意と静けさを湛えた色です。

11月16日は、霜月の折り返し。立冬を過ぎ、空気が澄み、木々の葉が落ちていく頃。桑染は、そんな季節の静かな移ろいを映す色。葉が土に還る前の、最後の記憶のような色です。

この色には、儀式の気配があります。茶室の炉開き、神社の秋祭り、祖霊への祈り。桑染は、そうした場にふさわしい控えめな美を持っています。自然と人との距離が近かった時代の、色の在り方を思い出させてくれる色です。

WABISUKEの哲学においても、「静けさの中にある敬意」は重要なテーマ。桑染は、語らずとも伝わる色。空間に余白を残しながら、深い意味を宿す色です。


 参考文献

• 『日本の伝統色』紫紅社
• 『和の色手帖』草木染研究会編
• 「桑染(くわぞめ)」— irocore.com
• 『色彩の日本史』吉川弘文館

 

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