STORIES

  • 12月1日 色暦 氷色 (こおりじろ)

    12月1日の、色暦 氷白(こおりじろ) – Kōrijiro 「凍てつく朝、光をはらんだ白。」 「氷白(こおりじろ)」は、冬の朝に張る薄氷のような、冷たさと透明感を併せ持つ白。雪の白よりも硬質で、白磁よりも淡く、光を受けてかすかに青みを帯びるその色は、静けさと緊張感、そして希望を感じさせます...
  • アルミ弁当箱と布の包み

    アルミ弁当箱と布の包み ―手の記憶が、昼休みをほどいていく― 冬の教室。ストーブの上に、銀色の弁当箱が並ぶ。じんわりと温まるアルミの表面に、湯気がうっすらと立ちのぼる。その弁当箱は、母の手によって布で丁寧に包まれていた。柄も、結び方も、毎日少しずつ違っていた。 昼休み。包みをほどくその瞬間...
  • 11月30日 色暦 雪の下 (ゆきのした)

     11月30日の、色暦 雪の下(ゆきのした) – Yukinoshita 「静けさの中に、ぬくもりがある。」 「雪の下」は、植物ユキノシタ(Saxifraga stolonifera)に由来する色名。雪が積もってもその下で緑の葉を保ち続けることから名づけられました。葉は丸く、白い斑が入り、初...
  • こたつとみかんとテレビの夜

    こたつとみかんとテレビの夜―暖かさの中にあった、家族の姿― 冬の夜。窓の外は冷たい風が吹いているのに、部屋の中は不思議と温かい。 こたつという「島」 こたつは、冬の家の中心だった。部屋のどこにいても寒いのに、こたつの中だけは別世界。足を入れた瞬間、ほっとする。その居心地の良さに気づいて、...
  • 一丈四方の宇宙  鴨長明と、方丈の祈り

      一丈四方の宇宙 — 鴨長明と、方丈の祈り 「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にはあらず。」 この一文に、すべてが込められている。鴨長明(かものちょうめい)は、平安時代の末から鎌倉時代の初めにかけて生きた歌人であり、随筆家である。彼が遺した『方丈記』は、単なる随筆ではない。それは...
  • 11月29日 色暦 黒橡 (くろつるばみ)

    11月29日の、色暦 黒橡(くろつるばみ) – Kurotsurubami 「深い森の記憶が、静かに息づいている。」 黒橡は、橡(つるばみ=くぬぎ)の実を砕いて煎じ、鉄媒染で染め上げた青みがかった黒色。古代では庶民の衣服に使われていましたが、平安期以降は貴人の喪服にも用いられ、威厳と静寂を...
  • 桃太郎がま口と、記憶を運ぶ物語

    桃太郎がま口と、記憶を運ぶ物語 ―WABISUKE京都から、昔話と詩情を手のひらに― 「むかしむかし、あるところに…」この言葉を聞くだけで、私たちの心には懐かしい風が吹き抜けます。桃から生まれた少年が、犬・猿・雉を連れて鬼退治に向かう物語――桃太郎。日本人なら誰もが一度は耳にしたこの昔話は...
  • 風をまとう器  WABISUKEの2wayポシェット

    風をまとう器——WABISUKEの2wayポシェット 道を歩くとき、風がそっと肌を撫でる。季節の匂い、街のざわめき、足音のリズム。そんな日常の中で、ふと「身につけるもの」が語りかけてくる瞬間がある。 WABISUKEの2wayポシェットは、まさにそんな存在だ。これは単なるバッグではない。風と...
  • ラジカセとカセットテープ  音の風景が、記憶を巻き戻す

    ラジカセとカセットテープ ― 音の風景が、記憶を巻き戻す ― 「カチャッ」という音がした瞬間、空気が少しだけ変わる。再生ボタンを押す指先に、ほんの少しの緊張と期待が宿る。ラジカセから流れてくるのは、ただの音楽ではない。それは、誰かの部屋の空気、誰かの午後の記憶、誰かの心の揺れだった。 昭和...
  • 岡倉天心と『茶の本』 静けさの中にある美しさ

    岡倉天心と『茶の本』──静けさの中にある美しさ はじめに:お茶って、ただの飲み物? 「お茶って、なんだか落ち着くよね」 そんな言葉の奥に、実は深い哲学が隠れていることを知っていますか。 明治時代、日本の美を世界に伝えようとした一人の思想家がいました。 その名は、岡倉天心(おかくら てんしん...
  • 11月28日 色暦 墨色 (すみいろ)

     11月28日の、色暦 墨色(すみいろ) – Sumi-iro 「語られないものの中に、深さがある。」 墨色は、墨の五彩のうち「焦(こげ)」にあたる、黒に近い灰黒色。菜種油や松を燃やしてできた煤(すす)を膠で練り、香料を加えて固めた墨から生まれる色です。古来、僧侶の常服や書画に用いられ、凶...
  • 文化を纏い、未来へ渡す。

    文化を纏い、未来へ渡す。 WABISUKEは、ただ形あるものをつくっているのではなく、日本が二千年かけて育んできた「感性」という名の文化を紡いでいます。 神話の時代から平安の美意識、江戸の暮らしの知恵、明治の混ざり合う近代、そして昭和の温もり、令和のデジタルまで、 日本の美意識は絶えず変化し...