昔ながらの前掛けが紡ぐ、現代の暮らしの美

昔ながらの前掛けが紡ぐ、現代の暮らしの美
京都・東山三条に根を張るWABISUKEの定番アイテム「デイリートート(小)」は、日々の暮らしに静かに寄り添う存在です。藍色の帆布に染められたオリジナルテキスタイルは、どこか懐かしく、そして凛とした佇まい。実はこの柄、昔のお酒屋さんが身につけていた前掛けの意匠を参考にしています。
前掛けとは、かつて商人や職人が仕事の際に身につけていた布製のエプロンのようなもの。特に酒屋の前掛けは、厚手の帆布に染め抜かれた屋号や家紋、商品名が印象的で、町の風景の一部として親しまれてきました。昭和の商店街を歩けば、酒屋の店先で前掛け姿の店主が一升瓶を抱えている姿に出会えたものです。
前掛けの歴史と役割
前掛けの起源は江戸時代にさかのぼります。商人や職人が仕事着として身につけることで、衣服の汚れを防ぐと同時に、屋号や商標を掲げて宣伝の役割も果たしていました。特に酒屋の前掛けは、酒樽を運ぶ際の腰の保護や滑り止めとしても機能し、実用性と美しさを兼ね備えていたのです。
WABISUKEの再解釈
WABISUKEのデイリートート(小)は、そんな前掛け文化への敬意と、現代の暮らしへの提案が融合したプロダクトです。藍色の帆布に染められたテキスタイルには、WABISUKEのロゴや伝統的な文様がリズミカルに配置され、どこか懐かしくも新しい印象を与えます。
この柄は、単なるレトロな再現ではありません。前掛けに込められていた「働くことの誇り」や「地域とのつながり」を、現代の生活者が日常の中で感じられるように再構築されています。買い物や散歩、ちょっとした外出に寄り添うサイズ感と、丈夫で使い込むほどに味わいが増す帆布素材。まさに、日々の営みに寄り添う「現代の前掛け」と言えるでしょう。
柄に込められた物語
テキスタイルに散りばめられた文様や文字は、WABISUKEが紡ぐ物語の断片です。「WABISUKE」「KYOTO」「HIGASHIYAMA SANJO」といった言葉は、ブランドの根ざす場所と哲学を静かに語りかけてきます。六角形や円形の紋様は、かつての家紋や酒樽の印を思わせ、視覚的にも文化的にも深みを与えています。
このバッグを手にすることは、単なるファッションではなく、ひとつの文化を身につけること。前掛けがそうであったように、持ち主の暮らしに寄り添い、使い込むほどに味わいと記憶が刻まれていくのです。
未来へつなぐ布
WABISUKEのデイリートート(小)は、過去の文化を懐かしむだけでなく、それを未来へとつなぐ布でもあります。前掛けがそうであったように、使う人の手や時間によって育まれ、やがてその人だけの風景となっていく。
京都の町並みを歩くとき、ふとこのバッグが誰かの腰に揺れていたら——それはきっと、文化と暮らしが静かに共鳴している瞬間なのかもしれません。
WABISUKEのプロダクトは、そんな「静かな誇り」を、現代の私たちにそっと手渡してくれるのです。