11月9日 色暦 紅樺色 (べにかばいろ)

11月9日の、色暦 紅樺色(べにかばいろ)
「木肌に宿る、命の記憶。」
紅樺色(べにかばいろ)は、樺の木が紅葉するような、深みのある赤褐色。紅葉の燃えるような華やかさとは違い、幹や枝に残る静かな温もりを感じさせる色です。
この色には、木の記憶が宿っています。葉が落ちた後も、樹皮に残る紅の気配。それは、命が地中へと還っていく準備のようでもあり、次の季節への静かな約束のようでもあります。
紅樺色は、民藝の器や古布にもよく使われる色。使い込まれた木の道具や、手に馴染んだ筆の軸など、暮らしの中にある「時間の積層」を感じさせる色でもあります。
今日のような日には、紅樺色の器で温かいお茶を淹れてみてください。手に取った瞬間、木の命と自分の呼吸が重なるような、そんな静かな感覚が訪れるかもしれません。
参考文献
• 『日本の伝統色』紫紅社
• 『和の色手帖』草木染研究会編
• 「紅樺色(べにかばいろ)」— irocore.com
• 『四季の色名事典』講談社