色暦 10月23日の色 褐返 (かちがえし)

色暦|10月23日の色:褐色(かちがえし)
褐色を返す──
「褐色(かちがえし)」は、褐色(かちいろ)に藍を重ねて染めるという、
古代の染色技法に由来する色の名です。
奈良・平安時代には、格式や意識を表す色として用いられ、
藍の還元と酸化を飾る「建て染め」によって、
深澄んだ陰影と、光の移ろいに呼応する舞台が生まれました。
この色は、強い日差しの下では黒に近く、
夕暮れや天曇では藍の静かがそっと表情を見て
まるで記憶の底に沈んだ感情が、ふと目に浮かぶような色です。
現代の色彩理論では、低彩度の青系統に分類されるニュートラルグレーに近く、
他の色と調和しやすく、静けさと凛とした気配を漂わせます。
🍂今日のひとこと
藍と褐色が重なり合うその
少しは、過去と現在を静かに結ぶ。
【参考】
褐返の染色技法と文化の背景は小林塗装の色見本解説より。