色暦 11月1日の色  緋褪色 (ひさめいろ)


 色暦|11月1日の色:緋褪色(ひさめいろ)

鮮やかな緋色が、陽の光を浴びて少し褪せたような色──
「緋褪色(ひさめいろ)」は、赤とも橙とも言えない、褪せた温もりを持つ色。
かつては高貴な色とはされなかったものの、現代の目には古風さとモダンさが交差する魅力的な色として映ります 。


 色の特徴

• 読み方:ひさめいろ(ひざめいろとも)
• 色味:褪せた緋色、赤みのある柔らかな橙
• カラーコード(参考値):#E09285
• 色言葉:変化、温もり、懐かしさ


緋褪色は、時間の経過が生んだ美しさを象徴する色。
鮮やかさが失われることで、新たな深みと優しさが生まれる。
それは、**人の記憶や感情にも通じる“褪せる美”**です。


 今日の気配

11月1日。
秋の深まりとともに、色も少しずつ褪せていく。
緋褪色は、そんな季節の移ろいと余韻を映す色。
華やかさではなく、静かな温もりが心に残ります。


文化のひとしずく

古代では赤は厄除けの色とされ、緋色は力強さの象徴でした。
その緋が褪せることで、力強さから優しさへと変化する。
緋褪色は、変化することの美しさを体現する色なのです 。


 色暦のひとこと

緋褪の 褪せてなお咲く 秋の声


次は蜜柑茶へ──果実のような温もりが、晩秋の陽だまりを描きます。
色が語る季節の物語、また明日もお届けします。

【参考文献】

• Premium Japan|緋褪色の文化的背景と読み方 
• 吉岡幸雄『日本の色辞典』紫紅社
• 高月美樹監修『365日にっぽんのいろ図鑑』玄光社(2020)
• DICカラーガイド 日本の伝統色:DIC-N728 緋褪色