連珠文と蜀江文 永遠と秩序を織り込む幾何学

連珠文と蜀江文:永遠と秩序を織り込む幾何学
はじめに:布に宿る宇宙
京都の古い町家の襖に、ふと目を奪われることがあります。円が連なり、四角が重なり、まるで静かな宇宙がそこに存在しているような──それは「連珠文(れんじゅもん)」や「蜀江文(しょくこうもん)」と呼ばれる文様です。
これらの幾何学文様は、ただの装飾ではありません。秩序、永遠、そして祈りが織り込まれた、静かな哲学の形なのです。
連珠文:つながる命の輪
連珠文は、円が連なっている文様。 古代ペルシャやインドからシルクロードを経て日本へと渡ってまいりました。
• 円は「縁」でもあり、「命の輪」でもある。
• 続くことで、過去・現在・未来がつながるという考えが込められています。
「この布をまとうと、誰かの祈りがそっと背中を押してくれる気がするんです」
ーあるおばあちゃんの言葉より
蜀江文:秩序と調和の幾何学
蜀江文は、正方形や八角形の中に花や星が描かれた文様です。中国・蜀の地からずっと言われ、正倉院の宝物にも多く見られます。
• 幾何学中に自然のモチーフがあることで、人の手と自然の調和を表現。
• 八角形は「八方位」=世界のすべてを包み込む形。