鈴虫がささやく願いの寺:京都.華厳寺で出逢った小さな奇跡
鈴虫がささやく願いの寺：京都・華厳寺で出逢った小さな奇跡
ある秋の午後、京都の西山にある小さな寺向かいました。 名前は「華厳寺」。でも、地元の人も旅人も、みんなこう呼びます——「鈴虫寺」。
その名の通り、境内には一年中、鈴虫の声が響いています。秋だけじゃないの？と不思議に思いながら、石段をのぼると、どこからともなく、ちりちりと優しい音色が届きました。 まるで、誰かがそっと話しかけてくるような…そんな気がしたのです。
願いを一つだけ、叶えてくれるお地蔵さま
鈴虫寺には、わらじを履いたお地蔵さまがいらっしゃいます。
「どうか、あの子の夢が叶いますように」 「大切な人が、笑顔でいられますように」
そんな願いが、鈴虫の声に乗って、空まで歩いていこうでした。
お寺の中は、まるで絵本の世界
苔むした庭、竹林の小道、そしてふわりと香るお線香。 どこを切り取っても、まるで絵本の一ページのようなもの。 鈴虫たち、ガラスの中で静かに鳴いていて、まるで小さな詩人たちが集まっているみたい。
住職さんのお話も、まるで物語の語り部のようでした。 「願いを叶えるには、まず自分が動くこと。そして、感謝の気持ちを忘れないこと」——その言葉が、心にぽっと灯ともできました。
帰り道、鈴虫の声が背中を押してくれた
お守りをそっとポケットに置いて、石段を降りるとき、ふと振り返ってみました。 あの静かな境内、鈴虫の声、そして願いを込めた瞬間——全部が、宝物のように胸に残っていました。
「また来よう。今度は、誰かの願いをかけて」
そう思ったとき、鈴虫の声がちりりと鳴いて、まるで「うん、待ってるよ」と言ってくれたような気になりました。
鈴虫寺は、願いを叶える場所というより、願いに向かって歩き出す勇気を与える場所です。
かわいくて、静かで、ちょっぴり不思議。そんな京都の小さな物語を、あなたもぜひ感じてみてください。