11月24日 色暦  芭蕉色 (ばしょういろ)


11月24日の、色暦

芭蕉色(ばしょういろ)

「冬の手前に、南の風が通りすぎる。」

芭蕉色は、芭蕉の若葉のような、やや黄みがかった淡い緑色。
その名の通り、芭蕉(バショウ)の葉の色に由来します。芭蕉はバナナに似た植物で、沖縄や九州など温暖な地域に育ち、古くは繊維としても使われてきました。

11月24日は、冬の入口。木枯らしが吹き、空気が乾き始める頃ですが、芭蕉色はそんな季節にふと差し込む「南の記憶」を呼び起こします。
冷たい空気の中に、どこか柔らかな風が混じるような、そんな一日。

この色は、冬の色ではありません。けれど、だからこそ、冬の中にある「異質なぬくもり」として、心に残ります。
WABISUKEの哲学においても、「季節の余白」「時間の重なり」は大切なテーマ。芭蕉色は、季節の境目に現れる、詩的な違和感の色です。

 

 参考文献

• 『日本の伝統色』紫紅社
• 芭蕉色 – 伝統色のいろは
• 『色彩の日本文化史』吉川弘文館