脚下照顧　(きゃっかしょうこ) 足元を照らすということ

 脚下照顧（きゃっかしょうこ）— 足元を照らすということ

ふと立ち止まった朝に、心を整える言葉

「脚下照顧」とは、「自分の足元をよく見なさい」「今ここを見つめなさい」という意味の禅語です。

禅寺の玄関に掲げられることも多く、靴を脱ぐその瞬間に、自分自身を見つめ直すよう促されます。

でもこれは、ただの注意喚起ではありません。

「あなたは、どこに立っているのか」

「今、何を感じているのか」

——そんな問いかけが、静かに込められているのです。

 秋の朝、足元に舞う落葉

たとえば、通勤途中にふと見下ろした足元に、紅葉が一枚。

それは、季節の移ろいを知らせる手紙かもしれません。

「脚下照顧」は、そんな小さな気づきを大切にする禅語です。

若い読者に伝えたいのは、「未来ばかり見なくてもいいよ」ということ。

SNSの通知や予定表に追われる日々の中で、

今この瞬間の自分に、少しだけ目を向けてみる——それだけで、心が整うこともあるのです。