色とことばの雅  平安時代という感性の王国


色とことばの雅——平安時代という感性の王国

月の光に染まる衣、
香りを焚きしめた紙に綴る恋の歌。
平安時代——それは、色彩とことばが感情を包み込んだ美の王国。

平安時代とは——国風文化の誕生と感性の深化

794年、桓武天皇によって平安京が築かれ、
以後約400年にわたり、貴族たちが雅な文化を育んだ時代。

• 国風文化:中国文化から離れ、日本独自の美意識が確立
• 貴族社会:教養と感性が重視され、和歌・香り・衣装が自己表現の手段に
• 女性の感性:紫式部や清少納言など、女性たちが文学と美意識を牽引


この時代、人々は自然と感情をことばと色で包み込む術を持っていました。


色彩の哲学——襲の色目と香染の世界

平安の美は、色に意味を込める文化でした。

• 襲の色目(かさねのいろめ):季節や感情を重ねた衣の配色。たとえば「梅重」は春の香り、「藤襲」は初夏の揺らぎ。
• 香染(こうぞめ):白檀や丁子の香りを移した絹糸で織られた衣。香りと色が一体となった美。


これらは、視覚と嗅覚、感情と季節が交錯する詩的な装い。
WABISUKEの色彩設計にも、こうした「意味のある色」が息づいています。


ことばの美——和歌と物語に宿る感情

• 和歌:五・七・五・七・七の短詩に、恋・季節・哀しみを込める。恋文は和歌で交わされ、香りを焚きしめた紙にしたためられた。
• 源氏物語:紫式部による世界初の長編小説。光源氏の恋と哀しみを通じて、平安の美意識が描かれる。
• 枕草子:清少納言による随筆。日常の美、感情の揺らぎ、季節の移ろいが綴られる。


これらの文学は、言葉にならない感情を、言葉にする試み。
WABISUKEの詩的コピーにも、こうした「余白のある言葉」が宿っています。


香りと余白——薫物文化の美学

平安貴族は、香りを「自己表現」として用いました。

• 薫物(たきもの):香木や漢方を調合し、室内で焚く空薫物。
• 薫衣香(くのえこう):伏籠を使って衣に香りを移す技法。
• 薫物合わせ:香りを競い合う遊び。香りは、恋の歌に添える手紙にも焚きしめられた。


香りは、見えない美、触れられない感情の象徴。
それは、WABISUKEが描く「静けさの中の豊かさ」とも重なります。


平安とWABISUKE——感性の継承

平安時代は、感情を色とことばと香りで包み込む文化でした。
それは、WABISUKEが目指す「詩的な日常」「意味のある美」に通じるもの。

• 色に意味を
• ことばに余白を
• 香りに感情を


この時代に宿る美は、静けさの中にある深い感性。
そして、未来へと継承される、見えない美の構造。