11月26日 錆納戸 (さびなんど)

11月26日の、色暦
錆納戸(さびなんど)
「しまわれたものに、時間が染み込む。」
錆納戸は、藍染めに灰色を重ねたような、くすんだ青緑色。
江戸時代、反物を保管する「納戸」の暗がりの色に由来し、静けさと奥行きを感じさせる色です。
浅葱色よりも深く、藍色よりも柔らかい。使い込まれた布や、古い木箱の内側に宿るような色。
11月26日は、冬支度が本格化する頃。
押し入れや納戸から、毛布や湯たんぽが取り出される季節。
錆納戸は、そんな「しまわれたもの」に染み込んだ時間の色。
使われていない間にも、静かに季節を吸い込んでいたような、そんな深みがあります。
WABISUKEの哲学においても、「使われていない時間」「余白に宿る詩」は重要なテーマ。
錆納戸は、まさにその象徴。
目立たず、語らず、ただそこにある。
それでも確かに、深く、静かに、存在している。
参考文献
• 『日本の伝統色』 紫紅社
• 錆納戸 – 伝統色のいろは
• 色彩101「納戸色とその類似色」