今日の季語 虫時雨 (むししぐれ)

今日の季語:虫時雨(むししぐれ)
耳を澄ませば、季節が降ってくる。
秋の夜、静かな庭先や野原から、
虫の声が絶え間なく聞こえてくる。
それはまるで、しとしとと降る時雨のよう。
風もなく、雨もないのに、
音だけが降りそそぐ不思議な時間。
虫時雨は、自然が奏でる季節の音楽。
ひとつひとつの声が重なり、
静けさの中に豊かな響きを生む。
この季語には、
「見えないものが、確かにそこにある」
という感覚が宿っている。
それは、秋の深まりとともに、
心の奥にそっと染み込んでいく。
— 虫時雨、音のしずくが降る夜。