今日の季語 露寒 (つゆさむ)

今日の季語:露寒(つゆさむ)
冷たいのは、露だけではない。
朝、庭先の草に目をやると、
小さな露がきらりと光っている。
その美しさに目を奪われると同時に、
指先に触れた冷たさが、季節の深まりを告げる。
露寒という季語には、
秋の静けさと、冬の気配が同居している。
それは、まだ凍らないけれど、
確かに冷えているという、
「境目」の感覚。
露は、夜の空気が地上に残した記憶。
その冷たさは、
過ぎた時間と、これから訪れる季節の予告編。
湯気の立つ茶碗、
足元の霜に近い露、
そして、静かな朝の光。
— 露寒、季節が肌に触れる瞬間。