祇園新橋を歩く 石畳に響く、時のしらべ

祇園新橋を歩く——石畳に響く、時のしらべ
京都・東山の静かな午後。白川のせせらぎに耳を澄ませながら、私は祇園新橋の石畳をそっと踏みしめる。 ここは、昭和51年に選定された「祇園新橋伝統的建造物群保存地区」——江戸末期から明治初期にかけて建てられた町家が連なる、京都らしい風情の残る場所です。
茶屋町の記憶——紅殻格子をつける誰の向こうに
この界隈の町家は、切妻造・桟瓦葺きの二階建て。 1階には紅殻格子、2階には座敷があり、縁側からすだれが垂れる——「本二階建て町家茶屋様式」の典型です。
夕暮れ時、巽橋のたもとに立って、白川に映る灯がゆらめき続き、まるで時代を超えて舞妓歩いて聞こえよう。辰巳大明神に手を合わせ、そっと路地に入って、そこには「切り通し」と呼ばれる細道がます——石畳と町家が織りなす、静謐な美の世界。
保存と未来——文化を守るということ
現在、保存地区内の建造物の約7割が伝統的な建造物とされており、その外観や景観は修理・修景によって守られています。
保存とは、ただ古いものを残すことではなく、そこに息づく文化や暮らしの記憶を未来へと手渡すこと。