茶と猫。ー静けさなかにいる、もうひとつの命

茶と猫。— 静けさのなかにいる、もうひとつの命

猫は、茶の時間を知っている。
それは時計ではなく、空気の温度や人の気配で感じ取るもの。
湯気が立ちのぼると、ふわりと現れて、隣に座る。
何も言わず、ただそこにいる。
それだけで、茶の味が少しだけ深くなる。

 猫は、茶の間の哲学者

猫は、急がない。
茶も、急がない。
どちらも、時間の流れに身を委ねることを知っている。

たとえば、縁側で茶を点てているとき。
猫はその隣で、静かに毛づくろいをしている。
その姿はまるで、茶の湯の所作のよう。
無駄がなく、美しく、そして自由。

 茶と猫の、ちいさな共鳴

ある茶室には、ときどき猫が遊びに来ます。
名前は「しずく」。
雨の日に生まれた、灰色の毛並みの小さな猫。

しずくは、茶碗の湯気をじっと見つめたり、
茶筅の音に耳をぴくりと動かしたり。
その仕草は、まるで茶の世界に溶け込んでいるよう。

若い方にも、そんな「茶と猫」の時間を感じてほしい。
忙しい日々のなかで、ふと立ち止まるきっかけになるから。

 茶と猫が教えてくれること

茶は、心を整えるもの。
猫は、心をほどくもの。
その両方がそろうと、人は自然とやさしくなれる。

何かを語らなくても、そこにあるだけでいい。
茶と猫は、そんな「存在の美しさ」を教えてくれます。