願いの梅、撫で牛のひみつ 北野天満宮で出逢った小さな奇跡

願いの梅、撫で牛のひみつ|北野天満宮で出逢った小さな奇跡

春の京都。まだ少し肌寒い風が頬を撫でる朝、WABISUKEの小さな旅人・すけちゃんは、ふわふわの梅色のマフラーを巻いて北野天満宮へ向かいました。

「今日こそ、願いが届きますように…」

すけちゃんのポケットには、小さな折り紙で包まれた願いごと。 それは、誰にも言えない、ちょっぴり恥ずかしい夢。 でも、北野天満宮には“なで牛”という、願いを叶えてくれる不思議な牛さんがいると聞いて、勇気を出してやってきたのです。

鳥居をくぐると、梅の香りがふわり。境内には約1,500本の梅が咲く誇り、赤い花がまるで願いの色のように揺れていました。

「どこにいるのかな…なで牛さん」

すけやっと見つけたのは、腰をおろした石の牛。そっと軽く撫でて、牛さんは何も言わずに、ぽかぽかの温かく手に取ってくれました。

「ありがとう…」

その瞬間、風が吹いて、折り紙が空へいろいろ上がってました。

そこには、後西天皇の筆による「天満宮」の文字が、空に向かってまっすぐに伸びていました。

「願いって、空に向かって飛んでいくんだね」

すけちゃんは、折り紙をそっと拾って、今度は梅の木の下に置きました。願いは、誰にも見られないように、でもきっと誰かに届きますように。


帰り道、すけちゃんは少しだけ背筋を伸ばして歩いていました。願いはまだ叶っていないけど、心の中にぽっと灯った温かいところが、何よりの贈り物だったのです。


WABISUKEでは、また小さな旅の記憶を、言葉と色で紡ぎます​​。北野天満宮の梅の香り、撫で牛の静かな力、そして願いが空へ舞う瞬間——それらすべてが、未来へ続く物語の一部。

次はどんな場所でも、どんな願いと出逢えるでしょうか。

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