11月10日 色暦 錆浅葱 (さびあさぎ)


 11月10日の、色暦 錆浅葱(さびあさぎ)

「時を纏う、美しさがある。」

錆浅葱(さびあさぎ)は、浅葱色に錆が差したような、くすんだ青緑。新しさよりも、時を経たものの深みを感じさせる色です。古布や古裂、使い込まれた藍染の衣に宿るような、静かな存在感。

この色には、記憶が染み込んでいます。誰かが袖を通し、何度も洗われ、光と風に晒されてきた布のように。錆浅葱は、そうした「暮らしの時間」を映す色。民藝の器や、古い暖簾、町家の柱にも似合います。

今日のような日には、錆浅葱の布を手に取ってみてください。色の奥に、誰かの手仕事や、季節の移ろいが見えてくるかもしれません。

侘び寂の美学の中でも、「侘」に寄り添う色。静けさの中に、確かな温もりと、物語がある。


 参考文献

• 『日本の伝統色』紫紅社
• 『和の色手帖』草木染研究会編
• 「錆浅葱(さびあさぎ)」— irocore.com
• 『四季の色名事典』講談社