記憶を包む器 WABISUKEのショッパーとその物語

記憶を包む器 - WABISUKEのショッパーとその物語
橙色の紙に、黒で描かれた侘助椿の意匠。それは、WABISUKEのロゴマークであり、ブランドの名に込められた精神性を象徴する図案です。静けさの中に芯のある美しさを宿すこの椿は、WABISUKEの哲学そのものを映し出しています。
このショッパーは、贈り物を包むだけでなく、ブランドの世界観や詩的な空気感を運ぶ媒体として設計されました。色彩、質感、ロゴの配置に至るまで、すべてが「余白」と「記憶」を意識したデザインです。
丹色 - 日本の祈りと美意識をまとう色
WABISUKEのショッパーに選ばれた橙色は、日本の伝統色「丹色(にいろ)」に由来しています。丹色とは、古来より神社の鳥居や仏閣の柱などに用いられてきた、赤みを帯びた深い橙色。鉄分を含む「ベンガラ(酸化第二鉄)」を原料とし、腐食を防ぎ、災厄を祓う「魔除け」の意味が込められています。
この色を選んだのは、単なる美しさのためではありません。WABISUKEが大切にする「祈りのある日常」や「見えないものへの敬意」を、色彩としてそっと表現したかったのです。手にした人の心を温かく包み、そっと守るような存在でありたい。そんな願いが、この丹色には込められています。
一方、手提げ部分とロゴに使われている黒は、全体を引き締める「侘び寂び」の象徴。静けさと強さを併せ持つこの黒が、丹色の柔らかさと響き合い、WABISUKEらしい調和を生み出しています。
紙質は、軽やかでありながらしっかりとした厚みを持ち、使う人の心をそっと支える存在に。贈る人も、贈られる人も、安心して手にできるように。そんな想いが込められています。
ショッパーの起源 - 誰が最初に考えたのか?
ショッパー、つまり店舗で商品を持ち帰るための袋の文化は、20世紀初頭のアメリカに端を発します。1900年代初頭、ミネソタ州セントポールの雑貨店主ウォルター・デューベナー(Walter H. Deubener)が、紙袋に紐を通して持ち運びやすくした「Deubener Bag」を発明しました。これが、現代のショッパーの原型とされています。
彼の発明は、買い物の利便性を飛躍的に高め、紙袋が単なる包装から「顧客体験の一部」へと進化するきっかけとなりました。
ウォルター・デューベナーが「持つことの体験」を変えたように、WABISUKEのショッパーもまた、手にした瞬間の「感情」をデザインしています。袋を持つ手の感触、色の記憶、ロゴに込められた意味。それらすべてが、体験の一部なのです。
記憶を包むということ
この袋を手にした人が、誰かへの贈り物を選んだ時間や、店内で感じた静かな高揚感を思い出してくれるように。WABISUKEのショッパーは、記憶を包む器です。
いつかこの袋が、誰かの心の中で小さな思い出となり、
時が経ってもふと蘇る光景のきっかけとなるように。
WABISUKEのショッパーは、今日も静かに記憶を包んでいます。