曇りの日にこそ映える帆布──ゾウ柄2wayポシェットと、柔らかな光の話

帆布はもともと、船の帆や作業用の袋に使われてきた素材です。求められたのは、風雨や摩擦、日々の重さに耐えること。けれども織り目の詰まった厚手の布は、光の当たり方によって驚くほど表情を変えます。その表情がもっとも豊かに現れるのが、曇りの日です。

曇りの日の光が、織り目を浮かび上がらせる

晴れた日の強い日差しの下では、影のコントラストが勝ちすぎて、白い部分は眩しく、濃い色は硬く見えます。文様の陰影も、くっきりとした明暗に押されてしまいがちです。ところが雲が空を覆うと、光は拡散して布の表面に均一に届きます。織り目の凹凸が細やかな影をつくり、帆布の質感がふわりと立ち上がります。空全体が大きなレフ板になったようなものです。

曇りの日の影は、輪郭をつくる

谷崎潤一郎は『陰翳礼讃』の中で、日本の美は光そのものよりも、光がつくる陰翳の中に宿ると語りました。町家の格子や茶室の壁が、曇りの日の柔らかな光の下でいっそう味わいを増すのも、同じ理由でしょう。晴天の影は物を明と暗に二分しますが、曇天の影は淡く、物の表面に寄り添いながら輪郭を縁取ります。

帆布は、この淡い影ととても相性のよい素材です。細かな織り目の凹凸に沿って影が柔らかく広がり、濃すぎず薄すぎない階調が生まれます。

ゾウ柄の文様が、布の中で息づく

WABISUKEのゾウ柄2wayポシェットは、黒地に生成り色のゾウが連なる帆布のポシェットです。晴れた日にはゾウの姿がくっきり見えるだけですが、曇りの日にはゾウの輪郭が織り目にやわらかく溶け、影が文様に奥行きを与えます。柄が布の上に載っているのではなく、布の内側から立ち現れてくるように見えるのです。

厚みが、落ち着いた重みに変わる

帆布は、物理的にも見た目にも、どっしりとした素材です。晴れた日は強い影が厚みを際立たせますが、曇りの日は影が薄く広がり、同じ厚みが落ち着いた重みとして映ります。使い込むほどに柔らかくなり、色が深まり、手に馴染んでいく。その経年の変化を、曇りの光はもっとも美しく見せてくれます。

旅の途中で曇り空に出会ったら

2wayのポシェットは、斜めがけでもウエストポーチでも使えるので、両手を空けて歩く旅に向いています。曇りの日は風景の色が深まり、歩く速度も自然とゆっくりになります。そんな日に、肩に掛けた帆布の織り目や、ゾウの文様に落ちる淡い影をふと眺めてみてください。晴れた日には気づかなかった表情が、きっと見えてきます。

京都・東山三条、三条大橋のほど近くにあるWABISUKEの実店舗では、ゾウ柄2wayポシェットをはじめ、帆布のバッグを実際に手に取ってご覧いただけます。オンラインショップ(wabisuke.kyoto)でも、ゾウ柄をはじめさまざまな文様の帆布アイテムをお選びいただけます。曇りの日のお出かけに、ぜひ連れていってください。

 

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