静けさの中に息づくもの - 法然院にて

静けさの中に息づくもの ― 法然院にて
東山の麓、哲学の道をそっと外れた先に、
ひっそりと佇む寺院がある。
茅葺きの山門は、苔に調べられ、まるで時の流れを吸い込むように静かだ。その
門をくぐると、音は消えた風、ささやきと鹿威しの「コーン」という響きだけが、
心の奥に届く。
ここは、浄土宗の開祖・法然上人が弟子と共に修行を重ねた場所。
かつて、出家を望んだ女官たちの物語が、時の帝を怒らせ、時期は流罪となったという
。
方丈庭園は、春と秋にだけその姿を見せます。
白壇に描かれた水の流れは、目に見えるぬものへの反省の象徴。
人の心もまた、こうして静かに整えられていくのだろう。
谷崎潤が眠る墓所には、誰もい
ない
。
法然院は、観光地ではない。
それは、心が澄むための場所。
争いを離れ、ただ「在る」ことの美しさを思い出すための、
静かな祈りの場なのだ。