今日の季語　　野分　(のわけ)

 今日の季語：野分（のわけ）

風が、季節の境界を揺らしていく。

野分とは、秋に吹く強い風。
台風の余波や、季節の変わり目に現れるこの風は、
ただ荒れるだけではなく、
空や草木に深い余白を残していく。

庭の木々がざわめき、
落ち葉が空を舞う。
その一瞬の騒がしさの中に、
静けさが潜んでいる。

源氏物語では、野分の夜に
光源氏が藤壺を垣間見る場面が描かれています。
風が、見えないものを見せる——
そんな象徴的な力を持つ季語です。

— 野分、風が語る秋の物語。