色暦 10月29日の色 木蘭色 (もくらんいろ)

色暦|10月29日の色:木蘭色(もくらんいろ)
木蘭の花のような、やわらかな黄茶──
「木蘭色(もくらんいろ)」は、中国渡来の木蘭(モクレン)の樹皮を染料としたことに由来する、わずかに赤みを帯びた黄褐色。
香色や黄橡(きつるばみ)にも近い、品のある薄茶系統の色です。
色の特徴
• 読み方:もくらんいろ
• 色味:赤みのある黄茶、やや鈍い黄褐色
• カラーコード(参考値):#C7B370
• 色言葉:優しさ、品格、静かな強さ
この色は、古くは位の高い僧侶の袈裟にも使われ、
「表が黄、裏が黒」という襲(かさね)の色目としても知られています。
重なりの中に、静かな強さと深みを宿す色なのです。
今日の気配
10月29日は、秋の終盤に差しかかる頃。
木蘭色は、そんな季節の優しさと静けさを映す色。
華やかではないけれど、心に残る温もりを持っています。
文化のひとしずく
中国では「花木蘭(ファ・ムーラン)」の名でも知られ、
勇敢な女性の象徴として語られる木蘭。
その色には、静かなる意志と美しさが込められています。
色暦のひとこと
木蘭の 静けさ包む 秋の声
次は灰白へと移ろい、秋の終わりと冬の気配が見えてきます。
色が語る季節の物語、また明日もお届けします
【参考文献】
• 伝統色のいろは|木蘭色の由来と色味
• Premium Japan|木蘭色と花木蘭の文化背景 B
• 吉岡幸雄『日本の色辞典』紫紅社
• 長崎盛輝『新版 日本の伝統色』青幻舎