氷室池に映る平安の記憶ー勧修寺に宿る、静さのかたち


氷室池に映る平安の記憶——勧修寺に宿る、静けさの形

京都・山科。地下鉄の駅を降りて、住宅街を抜けた先に、時代層が静かに渦巻いている寺がある

境内の中心に広がるのは「氷室池」。
平安時代、この池に張った氷を宮中に献上し、五穀豊穣を占ったという伝承が残る。
水面は、そのだけの鏡ではない。季節の移ろい、祈りの記憶、そして人の気配をよく見る、静かな時の器。

池泉回遊式庭園「氷池園」は、三方の山を借景に、蓮や菖蒲が咲き誇る。
春には桜が、秋には紅葉が水面に揺れ、風が通るたびに、庭が詩になる。
護岸に石組を持たない土の岸は、江戸以前の庭園様式を今に残す希少な存在

書院の前の庭には、水戸光圀が寄進した「勧修寺型灯籠」が佇む。その
ユーモラスな姿は、格式の中に遊び心を残すように、静けさの中に微笑みを添える。

WABISUKEが目指すそのうち、どこか「残された美」の継承はできないかもしれない。
氷室池の水面に映るのは、ただの風景ではない。 それは
、誰かの祈りの形。 そして
、未来へと引き継がれる静かな哲学。

「氷が伸びるまでの静けさにこそ、祈りは宿る。」


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