11月15日 色暦  桜鼠 (さくらねず)

11月15日の色暦は「桜鼠(さくらねず)」です。七五三の晴れ着にも似合う、やわらかで儚い色。別れと祝福が交差する一日にふさわしい、静かな美しさを宿しています。

 11月15日の、色暦

桜鼠(さくらねず)

「祝福の中に、そっと哀しみを忍ばせる色。」

桜鼠(さくらねず)は、淡い紅色に灰色や薄墨がかかった、くすんだ桜色。いわゆる「墨染の桜」と呼ばれる色合いで、平安時代の和歌に由来する哀惜の美を宿しています。
「深草の野辺の桜し心あらば今年ばかりは墨染に咲け」——親しい人の死を悼み、桜にまで喪の色を纏わせようと願った歌。その心が、桜鼠という色に染み込んでいます 。

11月15日は七五三。子どもたちが晴れ着をまとい、神社に詣でる日。華やかな紅や桃色の中に、桜鼠のような色があると、そこに静かな品格が生まれます。祝福の中に、人生の儚さをそっと忍ばせるような、そんな色です。

この色は、WABISUKEの哲学にも通じます。華やかさの奥にある静けさ。喜びの中にある余白。桜鼠は、人生の節目に寄り添う色。子どもたちの成長を祝う日にも、過ぎ去った季節への祈りを込める日にも、ふさわしい色です。


 参考文献

桜鼠 – 和色
桜鼠とは?伝統色のいろは
暦生活:桜鼠の文化的背景

 

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