11月28日 色暦 墨色 (すみいろ)


 11月28日の、色暦

墨色(すみいろ) – Sumi-iro

「語られないものの中に、深さがある。」

墨色は、墨の五彩のうち「焦(こげ)」にあたる、黒に近い灰黒色。
菜種油や松を燃やしてできた煤(すす)を膠で練り、香料を加えて固めた墨から生まれる色です。
古来、僧侶の常服や書画に用いられ、凶事を表す色でもありましたが、近代では装飾や染色にも広く使われるようになりました 。

11月28日は、冬の竹林が静かに深まる頃。
風の音も吸い込まれるような静寂の中で、墨色は「語られないものの美」を映し出します。
それは、WABISUKEが大切にする「余白」や「沈黙の詩」に通じる色でもあります。


 暮らしの中の墨色

• 墨で描かれた水墨画の余白
• 使い込まれた筆の軸に残る黒
• 冬の竹林に差す影の深さ


墨色は、目立たず、語らず、ただそこにある。
それでも確かに、深く、静かに、存在している。
その姿は、侘び寂びの「寂」の美しさを教えてくれます。


 参考文献

• 『日本の伝統色』 紫紅社
• 『墨色 – 伝統色のいろは』 https://irocore.com/sumi-iro
• 『墨の五彩と色の文化史』 色彩文化研究会