福を招く顔 : 福助柄に宿る祈りと物語

「福を招く顔:福助柄に宿る祈りと物語」
商売繁盛、千客万来——そんな願いを、ひとつの顔に託したのが「福助柄」です。WABISUKEのアイテムに描かれたこの愛らしい顔は、ただのキャラクターではありません。江戸の空気を吸い、時代を超えて人々の願いを運んできた、縁起の象徴です。
福助とは、江戸時代後期に流行した縁起人形「福助人形」に由来します。大きな頭にちょんまげ、裃(かみしも)を着て正座する姿は、商人の礼節と誠意を表すもの。裃は「上下隔てなく礼を尽くす」という意味を持ち、どんな客にも等しく接するという商人の美徳が込められています。
福助のモデルには諸説あります。一説では、摂津国(現在の大阪周辺)に実在した佐太郎という人物が、見世物小屋で人気を博し、その姿を模した人形が「福助」として広まったといわれています。もう一説では、京都の呉服屋「大文字屋」の主人がモデルで、商売上手で福耳の持ち主だった彼の姿が、縁起物として人々に愛されたとも。
いずれにせよ、福助の顔には「福を招く」だけでなく、「控えめに、誠実に、心を込めて商いをする」という姿勢が宿っています。扇子を持つ姿は、結界を張り、自らを控える心の象徴。その控えめな佇まいこそが、福を呼び込むのです。
WABISUKEの福助柄は、そんな歴史と祈りを、現代の感性で再構築したもの。ポップでありながら、深い意味を秘めたデザインは、若い世代にも「福とは何か」「誠実とは何か」を問いかけてくれます。
この顔に込められた物語を、どうぞ日々の暮らしの中で感じてください。福助は、あなたのそばで、静かに福を招いてくれるはずです。