七五三  『七つまでは神のうち』、祈りと祝いのかたち

 

七五三──「七つまでは神のうち」、祈りと祝いのかたち

秋の澄んだ空気に、晴れ着の袖がふわりと揺れる。
神社の参道には、千歳飴を手にした子どもたちの笑顔と、
その成長を見守ってきた家族のまなざしが交差する。

■ 七五三とは何か

七五三(しちごさん)は、3歳・5歳・7歳の節目を迎える子どもたちの健やかな成長を祝い、
神社に参拝して感謝と祈願を捧げる、日本の伝統行事です。
その起源は平安時代にさかのぼり、江戸時代には庶民の間にも広まりました。

・3歳:髪置(かみおき)
 髪を伸ばし始める節目。幼児期からの卒業を意味します。

・5歳:袴着(はかまぎ)
 男児が初めて袴を着る儀式。社会的な一歩を踏み出す象徴。

・7歳:帯解(おびとき)
 女児が大人と同じ帯を締めるようになる通過儀礼。

これらは単なる年齢の祝いではなく、「命がここまで無事に育ったこと」への感謝と、
「これからも守られますように」という祈りのかたちです。

■ なぜ11月15日なのか

この日は、江戸幕府五代将軍・徳川綱吉が、長男・徳松の健康を祈願した日とされ、
また旧暦では「鬼宿日(きしゅくにち)」と呼ばれる吉日でもありました。
現在では、11月15日前後の週末に行う家庭も多く、地域によっては10月に前倒しすることもあります。

■ 千歳飴に込められた願い

七五三といえば、紅白の長い飴「千歳飴(ちとせあめ)」が象徴的です。
その細長い形には「細く長く、健やかに生きてほしい」という願いが込められています。
飴の袋には、鶴や亀、松竹梅など、長寿や繁栄を象徴する絵柄が描かれています。

■ 現代の七五三──記憶を紡ぐ日

医療が発達した現代においても、七五三は「家族の節目」として大切にされています。
写真館での記念撮影、神社でのご祈祷、祖父母との会食──
それぞれの家庭が、それぞれのかたちで「祈り」と「祝い」を紡いでいます。

 

WABISUKEでは、
この季節に流れる空気や、家族のまなざしに宿る詩情を、
色や言葉のかたちでそっとすくい取るような表現を大切にしています。

たとえば「千歳飴色」「紅緋(べにひ)」「白練(しろねり)」など、
七五三にまつわる情景を想起させる色名や季語を通じて、
読者の記憶や感情に寄り添うコンテンツを紡いでいけたら──
そんな想いで、今年もこの季節を迎えました。