11月14日 色暦 銀鼠 (ぎんねず)

11月14日の、色暦
銀鼠(ぎんねず)
「静けさは、光を含んだ灰のようなもの。」
銀ネズミ(ぎんねず)は、銀を掲げた淡い灰色。 ネズミの中でも、光を含んだような柔らかさがあり、冬の訪れを感じさせる色です。 空気が澄み、朝の光が白く感じられるこの頃、銀ネズミは空と地にいるような存在です。
この色には、静けさと予兆があります。 雪が降る前の空、霜が降りた朝の道、白い息が立つ瞬間。 銀鼠は、なんだか一瞬の情景を包み込む色。 無彩色でありながら、豊かな韻を持っています。
11月14日は、霜月の半ば過ぎて忘れ日。 紅葉が終わりに近づき、街の色が少しずつ褪せていく頃。 そんなある日、銀鼠のような色を身につけると、季節の移ろいを受け入れる心の準備が整うような気がします。
WABISUKEの哲学においても、「控えめな美」は重要な要素。銀鼠は、言葉もなくとも伝わる色。余白の中に、確かな存在感を宿す色です。
参考文献
• 『日本の伝統色』紫紅社
• 『和の色手帖』草木染研究会編
• 「銀鼠(ぎんねず)」— irocore.com
• 『色彩の日本史』吉川弘文館