11月18日 色暦 藤黄 (とうおう)

11月18日の、色暦
藤黄(とうおう)
「光の粒が、季節の終わりを照らす。」
藤黄(とうおう)は、東南アジア原産の植物「草雌黄(くさしおう)」から採れる黄色い樹脂に由来する色。英語では「ガンボージ(gamboge)」と呼ばれ、奈良時代には仏教美術に、江戸時代には友禅染や漆器の装飾に広く用いられました。
この色は、わずかに赤みを帯びた鮮やかな黄色。菊の花のように、秋の終わりに咲く最後の華やぎを感じさせます。11月18日は、菊花展が開かれる頃でもあり、藤黄はその色彩の象徴とも言えるでしょう。
藤黄には、祝祭と祈りの気配があります。仏像の彩色、金箔の下地、絵巻物の光の表現——いずれも、藤黄の透明感と力強さが活かされてきました。晩秋の空気に差し込む陽光のように、静けさの中に輝きを宿す色です。
WABISUKEの哲学においても、「終わりの中の光」は重要なテーマ。藤黄は、季節の終わりを照らす色。侘び寂びの「寂」に、ほんの少しの「明」を添えるような存在です。
参考文献
• 『日本の伝統色』紫紅社
• 『和の色手帖』草木染研究会編
• 「藤黄(とうおう)」— irocore.com
• 『色彩の日本史』吉川弘文館