STORIES

  • 茶道具の由来  静寂の器に宿る千年の記憶

    茶道具の由来──静寂の器に宿る千年の記憶 茶道具とは、単なる道具ではありません。 それは、時代を超えて受け継がれてきた美意識と精神性の結晶であり、 茶の湯という宇宙を形づくる「静寂の器」である。 茶道具の起源──仏具から始まった茶の器 茶道具の歴史は、奈良・平安時代にまで遡る。 ...
  • 静けさの中の宇宙  茶の湯の所作に宿る美

      静けさの中の宇宙──茶の湯の所作に宿る美 「すっ…」「ことん」「ふわり」畳に足袋が触れる音。茶杓が茶碗に置かれる音。湯気が立ちのぼる気配。それらはすべて、茶の湯の所作が奏でる無言の詩である。 一歩、茶室へ──畳の音が誘う世界 茶室の入り口に立つと、まず空気が変わる。外界の喧騒は、にじり口...
  • 午後三時の抹茶と、世界の静かな裂け目について

      午後三時の抹茶と、世界の静かな裂け目について   午後三時、僕は茶室にいた。正確に言えば、茶室のような場所にいた。畳の匂いがして、障子から差し込む光がやけに柔らかくて、そこには時間の流れが、少しだけ違う速度で進んでいるような気がした。   茶の湯というのは、奇妙な儀式だ。湯を沸かして、茶...
  • 清寂の緑:抹茶が語る、時間と心の物語

      清寂の緑:抹茶が語る、時間と心の物語 静けさの中に、ふと立ちのぼる湯気。湯呑みに注がれた一杯の抹茶が、私たちの心をそっと包み込む。忙しない日常のなかで、ほんのひととき立ち止まり、深く息を吸い、抹茶の香りに身を委ねる。その瞬間、時間はゆるやかに流れ、心は静寂のなかへと還っていく。 抹茶と...
  • 『和敬清寂』ってなに?ー茶道に隠された、心のレシピ

      『和敬清寂』って何?茶道に隠された、心のレシピ 「和敬清寂(わけいせいじゃく)」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。これは、茶道の精神を象徴する四つの漢字で構成された言葉であり、千利休が茶の湯の根本理念として説いたとされるものです。単なる作法や形式を超えて、人と人との関係性や心...
  • WABISUKEと茶の湯  一期一会

    侘助と茶の湯 ― 一期一会の美学 静けさの中に、ふと差し込む光。手に取った器の重み、湯気の向こうに見える誰かの気配。茶の湯とは、ただ茶を点てる行為ではなく、「今ここ」にしかない美を見つめるための、心の所作。 WABISUKEが目指すものも、その「一期一会」の美学です。一つ一つの作品、一つ一...
  • 侘助椿に宿る美意識

    侘助椿に宿る美意識 1. 控えめで未完成の美 侘助椿の花は小ぶりで、つぼみのように半開きのまま咲き続けることが多く、「咲かない美しさ」が特徴です。この「未」の姿は、完璧を求めず、余白や余韻を大切にする侘びの感性に通じます。 2. 静けさと気品 色合いは淡いピンクや白が中心で、華やかさよりも...