STORIES

  • 月の道を歩む人  藤原道長の美と権力

    月の道を歩む人 — 藤原道長の美と権力 「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の欠けたることも なしと思へば」 この和歌は、藤原道長が詠んだ一首としてあまりにも有名である。千年の時を越えてなお、静かに、しかし確かに、私たちの心を揺らすこの言葉には、彼の人生観と時代の空気が凝縮されている。満月...
  • 光と香のひとひら  清少納言と『をかし』のこころ

      光と香のひとひら──清少納言と「をかし」のこころ 千年の時を越えて、今もなお、私たちの胸をときめかせる言葉があります。 「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは…」 これは、清少納言が『枕草子』の冒頭に記した一節。彼女が見つめたのは、ただの季節の移ろいではなく、光の濃淡、空気の香り、そ...
  • 『笑いの中に、静けさがある』 狂言という不思議な時間

      「笑いの中に、静けさがある」—狂言という不思議な時間 京都のある春の日、私たちは“笑い”に出会いました。それは、にぎやかなものではなく、静かに心をくすぐるような笑いでした。舞台の上で、面をつけた男たちが、古語を使いながら、まるで現代の私たちの悩みを語っているようでした。その言葉は、どこか...
  • 静けさの中に宿る命   人形浄瑠璃 文楽の世界へ

      静けさの中に宿る命──人形浄瑠璃・文楽の世界へ 京都の路地裏、石畳の先にひっそりと佇む小さな舞台。そこに現れるのは、声を持たぬはずの人形たちが、まるで魂を宿したかのように語り、泣き、笑う世界──それが「文楽」、人形浄瑠璃の芸術です。 私たちが日々の暮らしの中で見過ごしがちな「間」や「余白...
  • 色とことばの雅  平安時代という感性の王国

    色とことばの雅——平安時代という感性の王国 月の光に染まる衣、香りを焚きしめた紙に綴る恋の歌。平安時代——それは、色彩とことばが感情を包み込んだ美の王国。 平安時代とは——国風文化の誕生と感性の深化 794年、桓武天皇によって平安京が築かれ、以後約400年にわたり、貴族たちが雅な文化を育ん...
  • 近松門左衛門と、静かなる情念の物語

    近松門左衛門と、静かなる情念の物語 江戸の町に、ひとりの言葉の職人がいました。名を、近松門左衛門。彼が紡いだ物語は、恋と死、義と欲、そして人の心の奥底にある「どうしようもなさ」を描いていました。それは、時代を超えて私たちの胸に響く、静かで深い情念の物語です。 人形浄瑠璃という鏡 近松が活躍し...
  • 江戸の夢を描いた男  井原西鶴という鏡

      江戸の夢を描いた男──井原西鶴という鏡 静かな茶室で、ふと手に取った一冊の古書。そこに広がっていたのは、江戸の町人たちの笑い、涙、そして欲望。その筆を握っていたのが、井原西鶴(いはら さいかく)という男でした。 彼の物語には、華やかさと哀しみ、滑稽さと真実が同居しています。まるで、にぎや...
  • 浮世に咲いた詩  元禄文化という庶民の美学

    浮世に咲いた詩——元禄文化という庶民の美学 金銀の屏風ではなく、町のざわめきの中に。茶室の静けさではなく、芝居小屋の歓声の中に。元禄文化——それは、庶民が自らの手で紡いだ「生きる美」の時代。 元禄文化とは——町人が主役になった時代 元禄文化(1688〜1704年)は、徳川綱吉の治世下で生ま...
  • 静けさの再構築  寛永文化という美の再生

    静けさの再構築——寛永文化という美の再生 安土桃山の華やかさが過ぎ去ったあと、日本文化はもう一度、静けさと秩序の中で美しさを見せた。それが、江戸時代初期に花開いた「寛永文化」です。 寛永文化とは——桃山の余韻と古典の復興 寛永文化(1624〜1644年頃)は、桃山文化の残響を受け継ぎながら、...
  • 静けさの胎動  室町時代という美の根

    静けさの胎動——室町時代という美の根 金箔の輝きが咲く前に、その根は静かに、深く、土の中で育っていた。室町時代——それは、日本文化が「静けさ」と「精神性」を手に入れた時代。 室町時代とは——武家と公家、禅と芸術の交錯 室町時代(1336〜1573年)は、足利氏による室町治安が京都にあった時...
  • 文化が咲き誇った瞬間  安土桃山時代という美の頂

    文化が開花した瞬間——安土桃山時代という美の頂 静けさの中に潜む力強さ。 侘び寂びの余白に、金碧の輝きが差し込む。 日本文化が最も劇的に花開いた時代——それが「安土桃山」時代です。 安土桃山時代とは——わずか30年の濃密な時間 安土桃山(1573〜1603年)の時代は、織田信長が...
  • 催事情報【イオン岡崎店】

    2025年10月2日〜8日 イオン岡崎店のイベントに出店します。