STORIES

  • 色暦 10月9日 今日の色 黄丹(おうに)

     色暦|10月9日 今日の色:黄丹(おうに) 黄丹は、古代の衣に使われた格式ある色。赤みを帯びた橙色で、太陽の残照のような温かさを持っています。平安の貴族が身につけた黄丹は、位と光を象徴する色でもありました。 色の物語 夕暮れの空に、最後まで残る光。誰かの背中をそっと照らすような、静かな勇...
  • 伝統は静かに革新する  静けさの中に、未来が芽吹く

     伝統は静かに革新する — 静けさの中に、未来が芽吹く — 日本の伝統は、声高に語られるものではありません。それは、静けさの中に息づき、季節の移ろいとともに、そっと形を変えていくもの。WABISUKEが目指すのは、その静かな革新です。  革新とは、壊すことではなく、編み直すこと 「革新」と...
  • 『無名の美を紡いだ人々   柳宗悦と民藝の仲間たち』

      「無名の美を紡いだ人々──柳宗悦と民藝の仲間たち」 日々の暮らしの中に、静かに息づく美があります。それは、名もなき職人の手によって生まれ、使われることで育ち、やがて誰かの心に残る美。この「用の美」に光を当てたのが、柳宗悦と民藝運動の仲間たちでした。 柳宗悦──美を見つける眼差し 柳宗悦(...
  • 今日の色  照柿(てりがき)

    今日の色:照柿(てりがき) てりがきは、熟した柿が陽に照らされて輝くような、艶やかな赤橙。秋の実りの中でも、特に「光を帯びた果実」のような存在感を持つ色です。 色の物語 この色は、夕暮れの縁側で食べる甘い柿の記憶。祖母の手の温もり、風に揺れる暖簾、遠くで鳴る虫の声――そんな静かな時間の中に...
  • 色暦とは?一色で綴る、季節と心の物語

    色暦とは?—色で綴る、季節と心の物語 はじめに:暦に、色を添えるということ 暦とは、時間の流れを記すもの。色とは、感情や風景、記憶を映すもの。「色暦(いろごよみ)」は、その二つが静かに重なり合う場所です。 それは、季節の移ろいを色で感じ、心の揺らぎを色で記す、詩的な時間の記録。日本の伝統色...
  • 恋する色図鑑  色に恋する、心に触れる

     恋する色図鑑 — 色に恋する、心に触れる — 恋は、言葉よりも早く、色で始まることがある。ふと目にした色に、胸が高鳴る。懐かしい人を思い出した。まだ知らない人を夢見る。そんな「恋する色」を、そっと集めてみました。 紅梅色(こうばいいろ) — はじまりの予感 — 春の風に乗って到着、まだ...
  • 『今は昔』の魔法   『今昔物語集』が語る、千年のささやき

      「今は昔」の魔法──『今昔物語集』が語る、千年のささやき 「今は昔」──この言葉で始まる物語たちは、まるで時の襞に隠れた小さな声のように、私たちに語りかけてきます。 『今昔物語集』は、平安時代末期に成立したとされる説話集です。全31巻のうち現存するのは28巻で、千篇以上の物語が収められて...
  • 革新の余白  明治時代という美の転換点

    革新の余白——明治時代という美の転換点 白粉の肌に、自然な眉。お歯黒をやめた皇后の微笑みが、時代の美意識を塗り替えた。明治時代——それは、伝統と西洋が衝突し、再構築された美の過渡期。 明治時代とは——維新と近代化のはじまり 1868年、明治維新によって江戸幕府が終焉し、日本は「近代国家」へ...
  • 神武天皇  はじまりの風、国を照らすひかり

      神武天皇──はじまりの風、国を照らすひかり 遥かなる時の彼方、神話と歴史の狭間に、ひとりの若き王がいた。その名は、神倭磐余彦(かむやまといわれびこ)。後に「神武天皇」として知られるこの人物は、天照大神の血を引く存在として、天と地の間に立ち、国を導く使命を帯びていた。 彼の旅は、西の高千穂...
  • 古事記   言葉に宿る神々の記憶

    古事記──言葉に宿る神々の記憶 静かな朝、墨色の空に一筋の光が差し込むように、古事記の世界は私たちの心に語りかけてきます。 それは単なる歴史書ではなく、言葉に宿る命の記録。神々の息吹と人々の祈りが、千三百年の時を超えて今もなお、私たちの感性を揺さぶります。 古事記を読むということ...
  • 静けさの中に息づく神話  『日本書記』と詩的なるもの

        静けさの中に息づく神話──『日本書紀』と詩的なるもの 千年の時を越えて、言葉はなお、風のように私たちの耳元をくすぐる。『日本書紀』──それはただの歴史書ではない。神々と人々が織りなす詩的な宇宙の記録であり、日本という国の精神的な骨格を形づくる、静かなる礎である。 この書は、奈良時代の...
  • 月の道を歩む人  藤原道長の美と権力

    月の道を歩む人 — 藤原道長の美と権力 「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の欠けたることも なしと思へば」 この和歌は、藤原道長が詠んだ一首としてあまりにも有名である。千年の時を越えてなお、静かに、しかし確かに、私たちの心を揺らすこの言葉には、彼の人生観と時代の空気が凝縮されている。満月...