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by kataokatetsuya
アルミ弁当箱と布の包み
―手の記憶が、昼休みをほどいていく―
冬の教室。ストーブの上に、銀色の弁当箱が並ぶ。じんわりと温まるアルミの表面に、湯気がうっすらと立ちのぼる。その弁当箱は、母の手によって布で丁寧に包まれていた。柄も、結び方も、毎日少しずつ違っていた。
昼休み。包みをほどくその瞬間...
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by kataokatetsuya
ラジカセとカセットテープ
― 音の風景が、記憶を巻き戻す ―
「カチャッ」という音がした瞬間、空気が少しだけ変わる。再生ボタンを押す指先に、ほんの少しの緊張と期待が宿る。ラジカセから流れてくるのは、ただの音楽ではない。それは、誰かの部屋の空気、誰かの午後の記憶、誰かの心の揺れだった。
昭和...
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by kataokatetsuya
紙芝居と駄菓子屋の午後静けさのなかにあった、物語のはじまり
午後三時。陽が傾きはじめると、町の空気が少しだけやわらかくなる。学校帰りの子どもたちが、ランドセルを背負ったまま駄菓子屋に吸い寄せられていく。その奥から、カン、カン、カンと拍子木の音が響く。それは、物語の幕開けを知らせる合図だっ...
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by kataokatetsuya
スマートフォンと銀閣寺、あるいは記憶の余白について
最近、京都に行くときは、なるべくスマートフォンを見ないようにしている。もちろん、地図アプリは便利だし、カフェの場所を調べるのにも役立つ。でも、あまりにも便利すぎて、気がつくと目の前の風景が、どこか遠くのスクリーンの中にあるような気がして...
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