STORIES

  • 色暦 10月15日の色 白橡 (しろつるばみ)

     色暦|10月15日の色:白橡(しろつるばみ) 白くくすんだ橡(つるばみ)色。それは、木漏れ日の記憶のような、静かな温もりを宿す色。 橡はドングリの実から染められる伝統色。白橡はその中でも、光を含んだような淡い灰茶で、秋の森の静けさや、暮らしの余白を感じさせます。 華やかさのあとに訪れる、...
  • 色暦  10月14日の色  柿渋 (かきしぶ)

     色暦|10月14日の色:柿渋(かきしぶ) 渋く熟れた柿の皮のような赤茶。それは、秋の深まりとともに現れる静かな渋みの色。 柿渋は、古くから防腐や染料として使われてきた実用の色。けれどその色には、時間の積み重ねと、暮らしの知恵が宿っています。 華やかさではなく、落ち着きと深み。今日という日...
  • 色暦 10月13日の色  藤煤竹 (ふじすすたけ)

    色暦|10月13日の色:藤煤竹(ふじすすたけ) 紫がかった煤色。それは、秋の夕暮れに差す一瞬の陰影。 藤のやわらかさと、煤竹の渋みが重なり、静かな余韻と知性を感じさせる色です。 華やかさのあとに訪れる、曖昧で美しい時間。今日という日が、誰かの思索を深める色になりますように。
  • 色暦 10月12日の色 萱草色 (かんぞういろ)

    色暦|10月12日の色:萱草色(かんぞういろ) 忘れ草とも呼ばれる萱草(カンゾウ)の花。その橙色は、悲しみを忘れさせるという古の言い伝えを持ちます。 萱草色は、黄丹よりもやわらかく、夕暮れの空に溶けるような、静かな希望の色。 誰かの心に、そっと寄り添うように。言葉にならない感情を、やさしく...
  • 色暦 10月11日の色  蘇芳 (すおう)

    色暦|10月11日の色:蘇芳(すおう) 古布のような渋い紅色。それは、華やかさを脱ぎ捨てたあとの、静かな深み。 蘇芳は、古代インドから伝わった染料の名でもあり、時を越えて、記憶と感情を染める色として受け継がれてきました。 紅樺の決意のあとに訪れる、少しの余韻。それは、言葉にならない思いを、...
  • 色暦 10月10日の色 紅樺 (べにかば)

     色暦|10月10日の色:紅樺(べにかば) 焼きりんごのような赤茶が、静かに空気を染める。誰にも見られず、ひと枝だけ色づいた紅樺。 この色は、秋の深まりとともに現れる静かな決意の象徴。華やかさではなく、内に秘めた強さを感じさせる色です。 紅は情熱、樺は白樺のような静けさ。ふたつが重なるとき...
  • 色暦 10月9日 今日の色 黄丹(おうに)

     色暦|10月9日 今日の色:黄丹(おうに) 黄丹は、古代の衣に使われた格式ある色。赤みを帯びた橙色で、太陽の残照のような温かさを持っています。平安の貴族が身につけた黄丹は、位と光を象徴する色でもありました。 色の物語 夕暮れの空に、最後まで残る光。誰かの背中をそっと照らすような、静かな勇...
  • 今日の色  照柿(てりがき)

    今日の色:照柿(てりがき) てりがきは、熟した柿が陽に照らされて輝くような、艶やかな赤橙。秋の実りの中でも、特に「光を帯びた果実」のような存在感を持つ色です。 色の物語 この色は、夕暮れの縁側で食べる甘い柿の記憶。祖母の手の温もり、風に揺れる暖簾、遠くで鳴る虫の声――そんな静かな時間の中に...