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by kataokatetsuya
土と稲のあいだ──縄文と弥生、器に宿る魂の形
はじめに:時代は変わる、祈りの形も変わる
縄文土器の炎のような文様。弥生土器の静かな響き。
それぞれの器には、時代の精神が刻まれている。
このブログでは、縄文と弥生の違いを「器」「暮らし」「祈り」の視点から見つめ直し、美と意味の変遷をたど...
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by kataokatetsuya
土に宿る祈り──縄文土器という美の原点
はじめに:美は「余白」から生まれる
「縄文土器は美しい」と語った白州正子。彼女の言葉は、単なる造形への賛辞ではなく、人間の根源的な美意識への共感だったのかもしれません。縄文人は、煮炊きの器に炎のような文様を刻み、渦巻きや突起を施しました。生きるた...
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by kataokatetsuya
「従順ならざる唯一の日本人」──白洲次郎と“美の原則”
白洲次郎という名前に、どこか風のような響きを感じる人もいるかもしれません。実際、彼は「風の男」とも呼ばれました。英国仕込みの洗練された身のこなし、そして何より「原則(プリンシプル)」を貫く生き方──その姿は、まるで武士のようでありな...
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by kataokatetsuya
韋駄天お正と呼ばれた女性──白州正子の美と旅
「私は不機嫌な子供であった。三歳になっても殆んど口を利かず、ひとりぼっちでいることを好んだ」──白州正子の自伝にあるこの一節は、彼女の内なる静けさと、後の激しい行動力との対比を物語っている。
白州正子は、静けさの中に強さを宿した女性だった。華...
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by kataokatetsuya
無愛想の美学──白洲次郎と正子が住まった「武相荘」
東京・町田の静かな里山に、ひっそりと佇む茅葺の家がある。その名は「武相荘(ぶあいそう)」。
「武蔵」と「相模」の境にあるこの地に、白洲次郎が洒落心を込めて名付けた。“無愛想”と掛けたその響きには、飾らず、媚びず、己の美意識に忠実に生きた...
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by kataokatetsuya
我孫子という土地の記憶:文学と民藝の交差点
関東平野の東端、手賀沼のほとりに佇む静かな町、我孫子。この地は、かつて白樺派の文人たちと民藝運動の思想家たちが集い、語り、創作した「思想の交差点」だった。
白樺派のまなざし:個と自然の調和
1910年代、志賀直哉や武者小路実篤ら白樺派の面々は...
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by kataokatetsuya
人間万歳──武者小路実篤という光
はじめに
「人間は美しい」この言葉を、文学だけでなく生き方で証明しようとした人がいました。武者小路実篤──白樺派の創始者であり、理想主義者であり、詩人であり、画家。彼のまなざしは、白樺の幹のようにまっすぐで、柔らかな光を放っていました。
白樺派と理想主...
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by kataokatetsuya
白樺の理想と民藝のまなざし──思想と美の交差点
はじめに
白樺の林を歩くと、一本一本の木がまっすぐに空を仰いでいる。その姿は、理想を信じた文学者たちのまなざしにも似ている。そして、名もなき器や布に宿る美を見つめた民藝の思想もまた、同じ空を見ていたのかもしれない。
本記事では、白樺派と民藝運...
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by kataokatetsuya
白樺の光に包まれて──白樺派という理想の森
はじめに
秋の風が白樺の葉を揺らすように、心にそっと触れてくる文学があります。
それが「白樺派」。明治末から大正期にかけて、若き文学者たちが理想と人間性を信じて紡いだ言葉の森です。
白樺派とは
1910年、学習院出身の青年たちが...
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by kataokatetsuya
「土と詩をつなぐ旅人──バーナード・リーチと民藝の架け橋」
イギリスに生まれ、日本に育まれた陶芸家、バーナード・リーチ。彼は、東洋と西洋の美をつなぐ旅人でした。柳宗悦との出会いが、彼の人生を大きく変え、民藝という思想に深く根ざした創作の道を歩むことになります。
【幼少期と日本との縁】
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by kataokatetsuya
今日の季語:露寒(つゆさむ)
冷たさの中に、静かな美しさがある。
朝、庭先の草に宿る露。指先で触れると、ひやりとした感触が残る。それは、夏の名残を洗い流すような、季節の静かな挨拶。
露寒は、ただの冷たさではない。それは、秋が深まる予兆であり、心を澄ませるための小さな合図。
誰かの声も、風...
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by kataokatetsuya
色暦|10月11日の色:蘇芳(すおう)
古布のような渋い紅色。それは、華やかさを脱ぎ捨てたあとの、静かな深み。
蘇芳は、古代インドから伝わった染料の名でもあり、時を越えて、記憶と感情を染める色として受け継がれてきました。
紅樺の決意のあとに訪れる、少しの余韻。それは、言葉にならない思いを、...
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