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by kataokatetsuya
西陣織──千年の絹が語る、京都の記憶と美
第一章:西陣織の源流──絹とともに渡来した文化
京都の織物文化は、古墳時代にまで遡ります。5〜6世紀、大陸から渡来した秦氏の一族が太秦に定住し、養蚕と絹織物の技術を伝えたことが西陣織の源流とされています。
奈良・平安時代には、朝廷が「織部司(おり...
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by kataokatetsuya
縮緬と日本人──布に宿る記憶と、暮らしの美学
第一章:縮緬とは何か──布の表情に宿る技術と感性
縮緬(ちりめん)──その言葉を耳にしたとき、何を思い浮かべるだろうか。着物の柔らかな風合い、和雑貨の繊細な手触り、あるいは祖母のタンスに眠る古布の記憶かもしれない。
縮緬とは、強く撚った緯...
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by kataokatetsuya
色暦|10月18日の色:藍媚茶(あいこびちゃ)
藍と茶が混ざり合った、艶やかな深色。それは、秋の夜に灯る静かな色気──媚びず、ただ美しい。
藍媚茶は、江戸時代の粋を感じさせる色。藍の冷たさと茶の温もりが溶け合い、知性と艶を併せ持つ佇まいを生み出します。
華やかさではなく、深み。今日という日...
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by kataokatetsuya
今日の季語:秋澄む(あきすむ)
澄んでいるのは、空だけではない。
朝、窓を開けると、空が高く、遠く、そして静かに澄んでいる。風は冷たくもなく、ただ優しく肌を撫でるだけ。音も匂いも、どこか控えめで、すべてが「余白」を持っているように感じる。
秋澄むという季語には、自然の透明さと、人の心の静け...
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by kataokatetsuya
装束と色彩の階層性 ─ 平安から江戸へ、身にまとう秩序と詩情
WABISUKE編集部|季節と記憶を紡ぐ連載より
「色は匂へど散りぬるを」──桜の儚さに重ねられた色彩の美学は、平安の宮廷装束から江戸の町人文化へと、時代を超えて変容しながらも、階層と感性の境界を描き続けてきました。
平安時代...
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by kataokatetsuya
今日の季語:紅葉(もみじ)
色づくのは、葉だけではない。
秋の風が吹きはじめると、山も街も、少しずつ色を変えていく。赤、黄、橙——そのひとつひとつに、季節の記憶が宿っている。
紅葉は、ただ美しいだけではない。それは、時間の積み重ねが見える風景。夏の光を吸い込んだ葉が、静かに命の色を変えて...
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by kataokatetsuya
色暦|10月17日の色:黄橡(きつるばみ)
黄みがかった橡(つるばみ)色。それは、秋の木々が静かに語りかけるような、落ち葉のざわめきを感じさせる色。
橡はドングリの実から染められる伝統色。黄橡はその中でも、やや明るく、風に舞う葉の軽やかさを映す色合いです。
華やかではないけれど、確かに季...
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by kataokatetsuya
【布と人類の物語】—WABISUKEが帆布に込める、時を超える美しさ—
第一章:人はなぜ布をまとうのか—布地の起源と人類史
人類が初めて布を身にまとったのは、単なる寒さや暑さから身を守るためだけではありません。それは「生きること」と「表現すること」が重なり合う、文化の始まりでもありました...
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by kataokatetsuya
がま口の文化誌——記憶を包む器としての構造・歴史・美意識
序章:がま口とは何か——機能と詩性の交差点
がま口——この言葉を耳にしたとき、私たちの心に浮かぶのは、懐かしさと温もり、そしてどこかユーモラスな響きである。金属の口金(くちがね)を「パチン」と閉じる音、手のひらに収まる丸みを帯びた...
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陰陽道と暦の詩学:時を編む日本の美意識
はじめに:暦は詩であり、世界の呼吸である
古代日本において、暦は単なる日付の羅列ではなく、自然と人の営みを調和させる「詩的装置」でした。陰陽道の思想に基づき、季節の移ろい、星の巡り、風の兆しを読み解く暦は、まさに宇宙のリズムを言葉にしたもの。...
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藤井風とWABISUKE──“風”が運ぶ、詩と色の共鳴
はじめに:藤井風という存在
岡山県出身のシンガーソングライター、藤井風。彼の音楽は、ジャンルを超えた融合と、言葉の余白に宿る情緒で多くの人々を魅了しています。R&B、ソウル、ポップスを自在に行き来しながら、日本語と英語を...
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by kataokatetsuya
米津玄師の歌詞に宿る”静けさ”──現代に息づく侘び寂びのかたち
【はじめに:静けさは、どこからやってくるのか】
「夢ならばどれほどよかったでしょう」米津玄師の代表曲『Lemon』の冒頭は、まるで静寂の中にぽつりと落ちる一滴の水のように、聴く者の心に深く染み入ります。彼の歌詞には、派手さ...
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